戦国サイダー
この状況で、そんなことを言えるんなら大丈夫な気がしてきました。


そこまで意固地になるんなら、私だってもうどうしようもない。


 
きっともう渋くなったティーポットを見て、さっきまでとは違った溜め息を零す。



「お茶、淹れなおして来るから」



横向きに丸まって眠りに落ちている兄を一瞥してから立ち上がろうとすると、急に左手を掴まれて、転がるように腰を落としてしまった。


不意打ち過ぎて、ちょっとお尻が痛い。



一体何事か、と思い手を引っ張った張本人を見ると、再び困惑しているような表情で視線を私から逸らした。



こんなに顔が近づいたのは久しぶりで、思わず鼓動が速まる。



「な、なに?」



しかも声がうわずるって、どんだけ動揺してるんだ私は。



妙にどきどきする私の心情を知ってか知らずか、いや知らないんだろうけど。


虎は艶っぽさたっぷりの瞳を伏せがちにして再びこちらを射抜き。


黙ったままその程良い肉付きの唇をこちらに寄せ……


 
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