戦国サイダー
「……ごめん」


「謝る相手が違うでしょ」


「いや、そうだけど。思李、ごめん」



謝られたところでどうしろと、と言いたい。


でもあまりにも兄が凹んでいたので「謝んなくていい」とだけ返しておいた。


 

暫し、沈黙、いや兄は脱力。


さっさと寝てしまいたい気持ちもあったけど、この状態の兄を放置することも出来ず、空を見上げた。


雲が少し出てるけど、今夜はほぼ満月だ。



そういえば、かぐや姫だって最後は月に帰っちゃうんだよね。



「思李さ」



事の次第を知って多少酔いが醒めたのか、ただショックから立ち直れてないだけなのか、落ち着いた声で兄が言った。



「虎と、どうしたい?」


「ん? どうって何の話ですか」


「真面目な話」



ああ、やだなぁ。


兄ったらアルコールがまだ抜けきってないくせに、このモード入るんだ。


 
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