戦国サイダー
見上げていた月を視界の端へと追いやり、中央へ兄を入れる。


うまくはぐらかしたかったけど、こうなっちゃえば私ではもう太刀打ち出来ない。



「好きだろ」


「……気には、なる、かな」



足掻いてみたところで、兄の瞳は信じちゃくれない。


 
「認めようとしないのは、お前の悪い癖だな」



わかってる、そんな真剣な顔で今更指摘しないで。



「だって理由がわかんない」


「何の?」



こういうところ、いちいち言わせようとするの、意地悪。



「……好きになる、理由」



ううん、本当はもう『好きなんだ』って認めてる。


だけどなんだか悔しくって。


いつでもこの兄には何でもお見通しなような気がしてしまって。



「だから多分、好きじゃない」



つい、嘘をついてしまいたくなる。


 
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