戦国サイダー
でもきっと、それですら兄には見通されてるんだ。


頑張って言ってみた私の顔を見て、ちょっとだけ笑って。



「理由なんかいらないだろ。好きになってんだから」



間違ってないことを、真っ直ぐ投げかけてくる。


 
正直、降参、白旗を振りたい気分。


諦めて溜め息をつくと、兄の手のひらが私の頭をぽんっと叩いた。



「まあ、それは俺が聞きたい本当の答えじゃない」


「え?」



本当の答えじゃない?


じゃあ、何を質問してたの?



「虎が、自分の生まれた時代に帰る、ってなったら、どうする?」



あ――――……




一瞬、心臓を鷲掴みにされたかと思った。


兄の顔を見ると、何故か私より切なそうな表情で。


余計に、身体中が痛い。


 
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