戦国サイダー
「でもさ」



兄の口調が、変わった。


 
「それと、二人の……思李の気持ちは別だと思うんだよね」




気持ちは、別?




顔を上げれば、兄はどこか愉しそうな顔。



「そう思ってるのは俺なわけで。思李がどうしたいのかは、別の話」



頬に一筋残っていた涙を兄の指がすくう。



「だってこういうことって他人がとやかく言うことじゃないでしょう? お前がどうしたいかが一番重要。俺が強要したっていいことなんかひとつもない」



突然の意見転換に、涙が止まり、感情の渦もストップがかかった。



「いや、さっきお兄ちゃん酔わせて……」


「あー、いやいや、それは忘れて」



都合良すぎでしょっ!?



思わず心の中で突っ込むと、不思議と身体の痛みもふっと軽くなる。


 
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