戦国サイダー
「ごめんなさい。今は久しぶりに会う従妹と一緒に遊びたいから」



職業仲居なだけあって、こういうときの人当たりもいい。



「えっ……ああ、そっか」



だから何って、私はくすむ。


いやいいんだけどさ、その私見て明らかに残念そうな顔浮かべるのやめてくれる?


そりゃどうせ私は珍しくペールトーンのワンピースを着ようが、頑張って化粧しようが、地味ですよ。



「ごめんなさいね」と再びにこやかに謝りながら男性を見送った夏梅ねぇが、さり気無く私のお尻を叩く。



「なーに拗ねてんのよ。あんた充分可愛いって」



拗ねてません、第一あんな人に好かれようが無視されようが、どうってことありません。



そう思ってたら今度はおでこをぺちっと叩かれた。



「まああっついし、結構買い物したし、お茶でもしよ」



両手にたくさんの紙袋を持ったまま、夏梅ねぇは手頃なカフェを探しだした。


 
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