戦国サイダー
かくいう私の両手も服やら化粧品やらの紙袋で埋まっている。


「この間気前のいい客に心付け五万ももらっちゃってさ」という夏梅ねぇが、どんどん私に物を押し付けてくるのだ。



全部買ってもらってるんだけど……もう二人で五万以上使ったような……



ちなみに夏梅ねぇの勤める旅館は田舎にあるとはいえ高級旅館。


昔家族で招待されて行ったら、あまりの格式の高さに場違い過ぎて全然のんびりできなかった。



「ここでいい?」



夏梅ねぇが足を止めたのはインテリアのお洒落なカフェ。


まあ聞かれはしたものの、頷く前に夏梅ねぇは入ってるんですけどね。


私も続けて入るとすぐに店の奥のソファ席に案内してもらえた。


クーラーの冷たい風が、シーリングファンによって攪拌され、心地よい風になって降りてくる。



二人でメニューを見て、あれがいいこっちもいいと散々悩んで。


私はアイスミントティとガトーショコラを、夏梅ねぇはアイスモカとブルーベリーチーズケーキを頼んだ。


 
< 294 / 495 >

この作品をシェア

pagetop