戦国サイダー
「だからはっきり言うけどね、悩んでないでさっさと行動しな」


「だっ……はっ、はい!?」



いきなりのお言葉に思わず声をあげたら、飲み物を運んで来てくれたウェイターさんが思いっきりびくっと肩を震わせていた。


でもそれも、夏梅ねぇが微笑みながら「ありがとう」というと目尻を下げて嬉しそうに下がってゆく。



みんな夏梅ねぇに騙されてると思う、ほんとはかなり男前な性格ですよ。



「あのさ……お兄ちゃんから何言われたの……?」



目の前に置かれたミントティに手をつける気にもなれず、聞いてみる。


勿論夏梅ねぇは、なんてことなくアイスモカにストローを指しながら、平然とした顔で。



「んー? 俺の可愛い妹が好きな人が出来たのにうじうじしてるから、ケツ叩いてくれ、って」


「あ……そう……」



なんかざっくり言われたけど、どこまで聞いてるんだろう。


いや、というか結論早いな、前置きなく言われたよ。



溜め息をついてからようやくストローに手を伸ばすと、さっきと同じお兄さんがケーキを運んで来てくれた。


さりげなく夏梅ねぇを見てばかりな気がして、残念ながら先約済みですよ、と心の中で教えてあげる。


 
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