戦国サイダー
「あ、その一回のセックスに愛があるの? って質問はなしね、そんなの一回じゃなくてもわかんないもんだし」



うーん、夢のないようなお話だけど、発言者が夏梅ねぇだけに、妙な説得力がある。


なんとなく、わかるような、わからないような。



「思李が本当に相手のこと好きなら、言っちゃえばいいのよ。好きです、って言われて嫌な思いする奴なんてそうそういないって」



ただその根拠のない自信はどこから来るんだろ、ほんとに。


だって夏梅ねぇ、あの男の性格知らないじゃない?


あんな奴に言って、こっちの勝手な想いどころか嫌われてたら、それこそ冷酷悲嘆なお言葉が次々に飛んできそうですよ。



……立ち直れそうにない。



「こーとーり」


「いたっ」



どんな顔をするかがすぐに想像できてしまってちょっと凹んでると、夏梅ねぇの指が私のおでこを弾いた。


 
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