戦国サイダー
……おお、ぐっすり寝てるらしい。



嫌がる虎をなんとか言い負かして風邪薬飲ましたしな。


具合が悪いおかげで言い負かせた感はたっぷりあるけど。



剥がれかけて、すっかり温くなった冷却シートを取り換える。


汗もそこそこかいてるし、熱は下がってきたのかもしれない。



病人とは思えない程律儀に仰向けで、というか普段の昼寝の方が寝姿は様々だから、具合悪いからこうなのか、寝てる虎をなんとなく眺める。



おとなしくしてたら、虎だって猫みたいなもんだよね。



そんなことを思いながら、首筋の汗を拭くとほんの少しだけ虎が唸った。


まるで儂は猫じゃない、って答えたみたいに。



いや、猫でも虎でもいいんだけどさ。



内心笑いながら、その寝顔を眺める。




そして、小さな声で「ごめんね」と伝える。





勝手に、貴方の人生を見てしまってごめんなさい、と。


 
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