戦国サイダー
「わ!」



足を滑らしたわけじゃないけれど、このままだと一階についたときはこけてるな、と思ったら、しっかり黒い塊が受け止めてくれた。



「お前はそそかしいな」



そそかしい……ああ、そそっかしいか。



呆れたような声に顔を上げると、案の定残念そうな顔で私を見る虎がいた。



「す……すみません」



なんか確かに前もこんなことあったなぁ、と思ってしまい反論が出来なくなる。


まあそれ以前に助けてもらって反論するのも間違ってるか。



「もう慣れた」


「そうですか……って、あれ、虎だ」



口調が戻ってることに気づき、受け止められたままの体勢で言うと、虎の眉がぐぐっと寄る。



「どこか頭を打ったか?」


「いや、打ってません。そうじゃなくて、戻ってるなーって……」


 
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