戦国サイダー
なんて思ってるうちに階段は終わってしまって、ここまで来て逃げ帰るのもみっともないと思い始めてしまう。


というか前進しなきゃ、何も変わらないことぐらい、もうわかってる。


そろそろと廊下を歩き、茶の間へと向かう。


そっと顔を出すと、縁側に座っている虎の背中が見えた。



「準備、出来たよ」



声をかけると、虎がゆっくり振り返る。



久しぶりにここまでどきどきしたんじゃないかと思う。


プレゼントに貰った浴衣を着て、精一杯おめかしをして。



なのに。



この男はどうしてこうもリアクション薄いのかなぁ!


文字通り眉ひとつ動きませんけど!


いっつもデニムにTシャツの女が、浴衣なんて着たんだよ?


そりゃ虎さんの時代は着物が普通だけど、いつもと違うんだからちょっとぐらい何か反応しない?


 
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