戦国サイダー
愉しいことを見つけた、獲物の目の先を辿ると……



「あ……ゆ、由惟さん……」



遠くからお祭り関係者の法被を着た由惟さんが、子どもを数人連れてこちらに歩いて来ていた。



よりによってこんなときに。



気付かないで通り過ぎてよ、と念じていたらそれが災いしたのか、単に佳菜美と茉莉の声が目立ったのか、あっさり目があってしまった。


それでも小学生ぐらいの子どもたちに手いっぱいなのか、距離は遠いまま。



逆に、気まずい。



「ふふふ、思李ー、懐かしい顔じゃない?」



至極愉快そうな顔の親友に、本当にこの人は親友か、と自分に問いかけたくなる。



「いや、この間会ってるし」


「は? マジで?」


「うん……まあ一応、この人も」



そうぼそっと言いつつ虎を指さすと、綺の顔がにまあっと歪む。


 
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