戦国サイダー
なんだか、嵐が過ぎていった気分。


そーっと虎を窺うと、あっさり目が合ってしまった。



「今のは」


「あ、友人。騒がしくてごめんね。あんまり虎みたいな人いないから、勝手に盛り上がったみたい」



無表情からいつもの不機嫌そうな顔へ。


寄せられた眉に、何故かほっとしてしまう自分がいる。



この人のデフォルトはこれで、無表情はひたすらに怖い。



「意味がわからん」



私の説明も一蹴され、腕を組んだ虎が溜め息を零した。



「うん、まあごめんね? 取り敢えず移動しようか」



もうこんな目に合うのはこりごりだ、と私は素直に神社へと向かうことに決めた。


けっして不純な動機があるわけではなく、うん。


 
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