戦国サイダー
虎と最初に出会った鳥船神社みたいな小さなお宮じゃなくて、神主さんもちゃんといる由緒正しき神社、芸能の神様を祭ってるんだったかな。



その神社の裏は小さな森。


普段なら犬の散歩やジョギングの人も通ったりするようなところだけど、今日は人がちらほらいるだけ。


それらも通り過ぎて行くだけで、留まろうとする人はほとんどいない。


寧ろここって“そういう”カップルが来そうなんですけど?


さすがに神域だからか、そんな影は見かけない。



勿論、私もそんな気はさらさらない、罰あたりにも程がある。



透明なビニールの中で、金魚がぴしゃりと跳ねた気がした。



「神社か」



虎がぽつりと零す。



「あ、そうか、この神社って虎の時代にもあるの?」


「いや……小さな社はあったと思うがな」


「ふーん、そっか」


 
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