戦国サイダー
古いものでも戦国時代からあったとは限らない。


山や川なんかの地形は大した違いがなくても、なかなか変わらずに残るものって少ないんだろう。



やっぱりホームシックというか里心がついたりするのかな。



そう思いながら横に立つ虎の顔を窺う。





呼吸を、忘れそうだった。



もう見慣れたと思っていた顔は、祭りの光に照らされて息を飲むほど美しく。


長い睫毛に縁取られた瞳が、どこか遠くを見ているようだった。



「お前と初めて会ったのも神社だったか」



いやだ。



「どうしてこちらに来たかもわからんが」



いっちゃ、いやだ。


 
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