戦国サイダー
「起きてたのに下には行かなかったの?」



何気なしにタオルケットを肩まで引き上げ、聞いてみる。


仰向けから側臥に体勢を変えた虎が、片眉を上げて欠伸を噛み殺した。



「朝起きて、儂がいなかったらお前が泣くと思ってな」


「は……はい?」



ちょっと待って、何、その根拠のない自信は。


てか起きたらいなくて泣くってどういう発想?


泣きはしませんよ! ちょっと物悲しくなるだけでしょ……たぶん。



「それにしてもお前はよく寝るな。何をしても目覚めん」


「なっ……毎日昼寝してる貴方に言われたくありません! ていうか何、何をしたのさ!?」



内心だけで抗議しようと思ったのに、つい口に出てしまった。


慌てて口を噤むも時既に遅し。



目の前の虎が意地悪そうににやりと笑う。





……お、恐ろしい、色んな意味で。


 
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