戦国サイダー
すっきりした気持ちを持ってこざっぱりした身体で脱衣所を出る。


タオル片手に台所に入れば、小さな窓から見える空が灰色になっていた。


湿度が上がっているような気もする、ひと雨来るらしい。



冷蔵庫から冷やしておいた四ツ谷サイダーを取り出し、茶の間へと入った。


今日の虎は縁側ではなく窓際の畳の上で寝ている。


この人、猫みたいに天気を察知して寝る場所を選んでいたりするんだろうか。


ネコ科だからありえなくもない、きっと。



なんて思って座布団の上に座ったら、テーブルの上の金魚鉢の中、金魚が跳ねた。


そうか、金魚にとって猫は天敵だ。


逆に言えばだからこそ虎はあんなに金魚をすくえたのか。



「なーんて、ふふふ」



自分で思いついたくせに馬鹿らしくなって、ペットボトルの蓋をひねる。


炭酸が抜けて、音を立て、しゅわしゅわと泡が立った。


 
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