戦国サイダー
サイダーをもうひとくち、喉に流し込む。


曇り空の窓の隣で、虎がゆっくり寝返りをうった。


その顔は、以前みたいに怖いものではない。


少しは、安心して眠れるようになったんだろうか。



ほんの少しでも、私は虎に何か残せるだろうか。



そんなこときっと虎に聞いたってわからないけれど。


今わかるのは、虎がまた薄着で寝てくしゃみをした、ということ。



懐かしい記憶が蘇る。


そんなに前じゃないと思うのに。



仕方がないなぁ、とペットボトルの蓋を閉め、隣の和室への襖を開ける。


またこんなこともあろうかと、和室にタオルケットは常備していた。



あのときは、すごく怖くて、すごく綺麗で、気圧されて。


でも今は、そんな雰囲気もなく、虎はただ気持ちよさそうに寝ている。


 
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