戦国サイダー
てか一瞬散策自体を拒否されたかと思いましたよ。



「いや、でも歩くと遠いし」


「なら儂が手綱を持つ」



いや、それが出来ないから言ってるんだって。



そうは思うものの、虎さんの意志は固いらしく、折れそうな気配がしない。


でも乗れない人の後ろに乗るのはさすがに怖い。



お茶漬けの最後を流し込みつつ、必死にどうするべきか考え。



「じゃあ……ほら、しばらく後ろに乗って感覚に慣れるってのはどう?」


「慣れる?」


「うん、ほら、馬だっていきなり一人で乗ったわけじゃない……よね? まあ、どういう乗り物かわかったら虎も乗れるかもしれないじゃない?」



一瞬、この人なら産まれた直後から馬に乗れそうな気がしてしまった私は馬鹿だ。



自分の浅はかさに辟易していると、どうやら虎はそれにはまあ納得がいったらしく、渋々了承してくれた。


さすがに馬も最初からは乗れなかったのだろう。


 
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