戦国サイダー
それに鬼虎は男だし、女の私一人より、兄がいてくれた方が助かるわけで、色々と。



うん、なんだか心配な気もするんだけど、言うしかない。



「あのね」



客間に聞こえないように声のボリュームを下げる。



「……あの人、拾ったんだよね」


「……は?」



ああ、至極妥当な反応ですよ。


目が点になって、口が開いてる、それが正解。



「お前いつからそんな節操なしになったっけ? 何、欲求不ま……」


「違うってば! もう、人の話はちゃんと聞いて」



小馬鹿にするような兄を黙らせ、それから私は事の次第をなるべく細かく伝えた。


どうして家に連れて帰ってきたのか、あの人がなんて名前で、記憶がないのか、本当に過去から来たのか……もちろんいきなりキスされたことは抜きで。


とりあえず相槌だけで聞いてくれていた兄は、全て話し終えるとたったひとこと。


 
< 45 / 495 >

この作品をシェア

pagetop