戦国サイダー
「面白いもん拾ってきたなぁ」



本当に楽しそうに笑って言った。



「そういう問題じゃないでしょ! わけわかんなくて大変だっていうのに」


「え、何が? あいつ過去から来たんじゃないの?」



だっ……駄目だこの人。


見た目は母似なのに、中身はしっかり父の能天気さを受け継いでるよ。



一気に全身の力が抜けると、兄はあははと笑う。



「なんでそう結論が早いのさ……タイムスリップなんてそんな不思議なこと……」


「いやだってそっちの方が面白いじゃん」


「はいぃ?」



お兄様、あなた大学で何習って……って、歴史だ……しかも日本史……



「危ない人だったらそのときはオレがなんとかするって。記憶喪失とかだったら病院なり役所なりに掛け合えばいい。だけど」



笑顔を引っ込めた兄は、私の前に人差し指を立てる。


その手にぶら下がっている紙袋から、海老チリの香りが漂った。


 
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