戦国サイダー
「もしさ、お前が過去なり未来なり、知らない時代に行っちゃって。すっごく困っているときに誰も助けてくれなかったら、悲しいだろう?」



珍しく真面目な顔、低い声。



ああ、そうか、私はきっとずっとそれに引っ掛かってたんだろうな。


投げだしたい、さっさとどっかに突き出したい、だけど脅されていたとはいえ、結局しなかった。


家に着いて、招き入れてしまったのは、きっとそんな思いがどこかにあったからなんだ。



そうだね、と頷くとその手が上に行き、私の頭をわしわしと撫でた。



……紙袋が痛いっす、兄貴。



「ま、オレ三日はこっちいるし、その間に判断つくでしょ」



「……って三日しかいないの!?」



紙袋がどいて開けた視界には能天気な笑顔の兄がいた。


二人っきりにならなくて済んだ、と思ったらそれまでに追い出せない限り結局二人きりですか。


 
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