戦国サイダー
「だって仕事あるし。だいじょーぶ、たまに様子見には来るから。親父ともそれ約束してるし」


「それ以降もうちにいるとしたらどうするの? 大事な妹が知らない男とひとつ屋根の下って、心配してよ!?」



客間へと戻ろうとした兄の腕を引っ張る。



「男前で良かったな。あれならどこに自慢しても恥ずかしくない」



そうですか。


いいですよ、自分の身は自分で守ります。



……鍵買ってこよう。



「とりあえず飯……の前にオレは風呂に入りたいな」



ほんっと、そういう呑気なところは父親そっくりですな。



ふかーく溜め息を吐いてついてゆくと、兄は臆することなく客間の戸を開ける。


さっき突き出された日本刀は、見えてなかったのかしら。


 
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