戦国サイダー
日は暮れ出し、林の中にもうそろそろ光は届かなくなる。


夜目は利く方だけれど、さすがにお屋敷に戻らないと怒られてしまう。



「継虎様、もうそろそろ……」


「ここに、社を建てるか」


「え?」



両腕を組み、淀みのない声が林に響いた。



「なんの……お社ですか?」



出過ぎた真似かと思うものの、聞いてしまう。



「そうだな……“ことり”が願いを叶えてくれるように」



また“小鳥”?



そう思って継虎様の顔を見つめていたら、目が合ってしまった。


慌てて逸らす、暗くてどうか顔があまり見えてませんように。


 
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