戦国サイダー
「帰るか、すず」



どきどきしていたら、継虎様はそれだけ言って私の横を歩き出した。


ほっとしつつその後をすぐに追う。



もうだいぶその表情はわかりにくくなってきたけれど。


なんとなく、継虎様がいつもより機嫌が良いように思えた。



余程楽しい夢を見たのだろうか。


羨ましいな。



「継虎様、なんだか良い香りがしますね」



少し後ろから歩きつつ、言ってみる。


普段ならあまり声はかけないのだけれど、今なら大丈夫な気がしていた。



「そうか」



返事はそれだけ。


でもなんとなく、嬉しそうに見えて、私も嬉しくなってくる。


 
< 481 / 495 >

この作品をシェア

pagetop