戦国サイダー
「ま、こっからがマジな話なんだけど」


「最初っから真剣にお願いします」


「いやいや、何事も前置きが大事って言うでしょ」



そう思うんなら、もうちょっとマシな前置きにしたらどうですか。


それに今だってタオルで頭拭きながらだし、どうみても真剣に見えない顔つきなんですけど。



「虎……あ、オレは虎って呼ぶことにしたんだけど、あいつの身体さ、結構鍛えてあんの」



それぐらいだったら現在でもいるでしょ、現にクラスメートの伊達君はバスケ部のエースで腹筋六つに割れてるし。


異論を含んだ視線を兄に向けながら、沸騰直前の味噌汁の火を止める。



「で、左肩と右太腿に傷がある」


「傷?」



それだって傷跡が残ってる人はたくさんいるし……



「肩の方は刃物でざっくり切られたような、脇下まである傷跡で、脚は刺されたような傷跡」


 
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