戦国サイダー
こっちを見ていないくせに機敏に左にかわされ。



急に開けた目の前には――



開きかけたドア――!?



「いっ――!!」


「この馬鹿がっ!」



止まれない、そう思って目を瞑った私の身体は急に前に進むのを止める。


早鐘を打つ心臓、その上に暖かくて硬い感触。



鬼虎の腕が、私の身体を片手で抱えてくれていた。


おかげでドアとの衝突は防げたらしい。



「何間抜けなことを考えておる!」


「い、いやだって避けるから……」



思考の処理が追いついていない、左耳の上から鬼虎の怒声が響く。



「後ろから何かが来たら避けるだろうが! お前はそこまで頭が働かんのか!?」



うわ、えーと……なんだかすごい怒られてしまっている。


 

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