戦国サイダー
胸が自由になって、心臓の鼓動が余計に早くなった気がする。



そういえばブラジャーなんて戦国時代にはないか。


まだアイツが戦国時代から来たなんて認めてないけど、そうであることをちょっと願いたい。


あのしっかりした腕の感触が、自分の胸の辺りに残っている。



ふふ、と上手く感情の掴めない笑い声が自分から漏れた。



本当に「恩人」だなんて言ったのだろうか。


私の聞き間違いだったら、恥ずかしい、というか妄想も甚だしい。



「まあ、そんぐらい思われて当然よ」



誰に言うわけでもなく、ひとりごちて。



私は立ち上がり、精一杯背伸びした。


 
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