戦国サイダー
「五百年も前なんだ……」



いただきますの直後、兄の出した質問はずばり「生まれは何年?」


それに鬼虎は一瞬目を細めてから和暦で即答した。



兄はきちんと鬼虎と同姓同名の戦国武将のことをネットで調べたらしく、メモを持っていた。


ただ、それを私には見せてくれない。



「そういや虎って今何歳?」


だから話は兄主導で進み、私はただご飯を口に運びつつ聞いているだけ。



「年か? 二十になる」


「ふーん……ってハタチ!?」


「思李、はしたないよ」



びっくりして、思わず持っていたたくあんをお味噌汁の中に落としてしまった。


汚したテーブルを布巾で拭いていると、左前方から溜め息が聞こえる。



……そういうところが、とてもじゃないけど二十歳に見えません。


落着き過ぎの態度も、意味のわからない無駄な色気も、そこらへんの二十歳の人とは比べ物にならないんですけど。


 
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