戦国サイダー
『普段は雑炊だけとかが多いんだよ。だからあんだけ食べさせられると、戦に行かなきゃいけないみたいだ、ってさ。あと多分、若干胃もたれなんじゃないかなぁ』



そんな答えが返ってきて。



そのとき、感じたのはちょっとしたジェラシーだった。


何で兄にはそういうことを言うんだろう、って、馬鹿みたいだけど、私。


最初は、ところどころ弱さみたいなのが見えたのに。


兄が来てからは全くない。



それがどうしてなのか、嫉妬というよりは疑問なのかもしれない。



私が女だから? 頼りないから?


面倒見ろ、って言った割にはなんだかいまいち面倒見てる気もしない。



「……って、おい。それはそれでいいじゃないか、私よ」



茶の間について昼寝を満喫中の鬼虎を見たら、思わず自分に突っ込んでしまった。


なんだかんだで居座っているこの男が、私に無関心な方が楽でいい。



「本当、追い出すタイミングも見失ったしなぁ」



結局兄の中では『戦国時代からタイムスリップしてきた男』で決着がついているらしい。


私の中ではまだ疑いたい気持ちもあるけど、どう頑張ってもそれって立証出来なくないか、ということに気づきつつある。


 
< 98 / 495 >

この作品をシェア

pagetop