虹のかなた〜Second Love〜(実話)
『え−まず患者様が一番利用されるトイレから工事に入りたいと思います全てバリアフリー…』
事務長が淡々と工事の説明をしていった
あれ…?
あたしは内装工事に入る業者の名前を見て驚いた
【大野産業株式会社】
これって…卓也のお父さんの会社
最近事業を拡大し有限会社から株式会社になったことは聞いていたけど…
『高瀬さん聞いてますか?』
『あっ…はい…』
全く事務長の話など耳に入ってなかったので慌てて背筋を伸ばした
卓也の会社が工事に入るんだ
卓也が生きてたらきっと大はしゃぎしてただろうな…
『では工事中は不自由かもしれませんがくれぐれも患者様に怪我のないようにスタッフ全員に気を配らせて下さい!以上です!お疲れ様でした』
『お疲れ様でした』
会議が終わったと同時に急いでロッカールームに
向かい、卓也のお父さんに電話をかけた
『あっ!お父さん麗奈です!こんにちわ』
『あぁ!麗奈ちゃんか!どうしたんだ?その声はどうやらバレたみたいだね!』
『はい!!うちの病院の工事に来て下さるんですね』
『あぁ〜そうだよ!今日の会議も出席する予定だったんじゃが〜この忙しさで猫の手もかりたいくらいじゃわ』
低くて貫禄のあるお父さんの声に懐かしさを感じた
卓也を目の前で亡くし、お父さんは一番責任を感じていた
卓也の葬式の時も……