虹のかなた〜Second Love〜(実話)


『麗奈ちゃん』

ナースステーションでカルテを整理していると聞き慣れた声がした


その声にスタッフ達が一斉にあたしの顔を見た



『智也兄さん!!お疲れ様!顔が埃まみれじゃん!』


あたしは笑いを堪えながら智也兄さんの顔の埃をはたいた


『麗奈ちゃんの大好きなチョコレート!!差し入れな♪白いチョコレート探すの大変だったよ』


智也兄さんは袋いっぱいのチョコレートをあたしに渡した


『あ…ありがとう!大好物覚えててくれたんだ』


『あったりめぇ〜よ♪てか母ちゃんが家に連れてこいって煩くてよ!今日も残業か?終わるなら俺待っててやるよ』


『………』


あたしは言葉が出てこなかった


だって卓也もよく袋いっぱいにチョコレート買ってきて仕事終わるの待っててくれたから…


『昔にタイムスリップしたみたい』


『何言ってんだよ!俺は卓也じゃねぇぞ!仕事しながら待ってるからな』


『うん!!』


智也兄さんはあたしの頭をポンと叩き笑顔で手を振って行った




『主任の甘い顔初めて見た!!患者さん以外でもそんな顔するんですねぇ!今日ぐらい残業しなくても罰当たりませんって』


先日勤務変更を言ってきた介護スタッフの生田がニヤニヤしながらあたしの顔を覗き込んだ






たまには早く帰るのも悪くないかっ♪





あたしは急いでパソコンの電源を切り更衣室に向かった



なぜあんなに急いでいたかは分からない


シャツのボタンの掛け違いにすら気付かなかった







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