純白小悪魔 [仮]
「あたし帰ります」
そう言って立ち上がると
軽く会釈をして
歩き出した
ユキさんはそれ以上
追って来なかった
きっとこれから
イチと合流して
2人で過ごすのだろう
あたしはなんとか
自力で駅まで
たどり着き
次の電車の
時刻を調べた
「いたっ」
急に腕を強く
引っ張られ
声を上げ振り返ると
息を切らせた
イチが立っていた
「何?」
気まずさに
目を伏せると
自然と口調も
冷たくなる
パンッ
渇いた音が
駅に響いた
.