Dark of Hearts
『ケンゴ…お前が寝てた分の数学と生物は0点決まりだな』

先生は呆れた様子だった。

『えっ…そんなぁ〜。あ〜あ、寝過ぎちゃったな…でもあの変な声は何だったんだろう!?』

ケンゴがあの声の事を考えていると、トモヤが近づいて来た。

『なあ、早く大穴見に行こうよ』

トモヤは目を輝かしていた。

『ちょっと待ってて』

ケンゴはポケットから携帯電話を取り出し、タツキに電話をかけた。

『ああ、タツキ!?悪いんだけどリュウトと二人で帰ってて。俺これからトモヤと約束があるんだ、悪いな』

ケンゴは電話を切り、ポケットにしまい席を立ち上がった。

『さあー、さっさと行くぞトモヤ』

『ケンゴありがとう』

ケンゴとトモヤは学校を出て、大穴のある山へと歩き出した。

山のふもとまでやってくると、大勢の人がいた。

『えー、凄い人じゃんか…俺人ゴミ嫌いだし、やっぱ帰ろうよトモヤ』

ケンゴは大勢の人にうんざりしていたが、トモヤはケンゴのその言葉を無視し、さっさと大穴へと歩き出した。

『…ったく』

ケンゴは仕方なくトモヤの後に着いて行った。

『ケンゴ!!すげーよ、この大穴!!』

トモヤは大穴にたどり着き、はしゃいでいた。

『おい、トモヤ近寄りすぎだぞ。危ないぞ』

ケンゴはトモヤの服を引っ張った。

ゴロゴロスドォーン!!

すると突然物凄い雷がなり、辺り一面に雷光が走った。

ケンゴは目がくらみ、目を閉じていたが、しばらくして目を開けた。

すると、さっきまでいた大勢の人たちの姿がなかった。

『ト、トモヤ…いつの間にみんないなくなったんだ?』

ケンゴは辺りをキョロキョロ見回してトモヤに尋ねたが、トモヤは黙って大穴の底を見つめていた。
< 4 / 76 >

この作品をシェア

pagetop