ひまわりとタンポポ
俺は今までにない位の速さで走った。バックを脇に挟み、携帯を耳に当てながら…
携帯先ではまだ真奈美が鼻をすすりながら話していた。
「どーゆう事だよ!!くっそ!!」
俺はがむしゃらに走りすぎて真奈美の話が全然耳に入ってこなかった。頭はパニックになってるし、体は思うように速く動かない。イライラは募るばかりで…
…ーバンッ!!
「ッハァ…ハァッ…優っ太は…!?」
俺が玄関のドアを開けたら母さんや親戚やおじさんおばさん、かなりの人数が一つの何かを取り囲んで泣いていた。
その何かが…優太じゃねーように…
祈った。
だけど…そんな夢叶わなかった。
俺が目をやった先には今まであんなに明るい肌色だった肌が青白い色に変わっていた。顔なんか今にも笑顔になりそうな位すこやかだった。
「…優太。」
「優太ね…死ぬ直前位に優助、優助って言ってたのよ…」
母さんはそう言って立ってる俺の頬を両手で包んだ。
「ごめんねっ、ごめんねって最期に言ってたの…。優助との約束守れなかったって…」
「俺に…?」
母さんはそれから一回頷いてまたボロボロと泣き出した。
最期に約束した。
ひまわりみたいな笑顔で指切りしたちっちぇーちっちぇー約束だったけど、優太が最期に考えてた事がその事だった。
俺は一回瞬きをした。
その時、死んだ優太の前で初めて涙を流した。
そして、下のカーペットに一つの染みを作った。