間違い電話
今日も個室がある居酒屋。


きっと誰かにバレちゃいけないからなんだね。


「さて、今日は何飲むか?」


智之はいつも通りだった。


「どうかした?」


私は横に首を振った。


食事が並び始め、智之は今日は何があったとか色々話してくれた。


しかし、私は頭の中にある「別れ」という言葉が、話の内容を集中させてくれなかった。


「何か話したい事があったんだよね?」


智之は優しい口調で言った。


こんなに優しいのに、私だけを愛してくれていないの?


私は泣きそうになった。





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