恋々

私と、好き。

大事な人体の授業はまったく、
身に入らなかった。


なによりも、
シュウに会えるのが嬉しくて

考えるだけで
顔がにやついてしまって


放課後が待ち遠しかった。




「ほら、マスカラ!」

繊維がいっぱい入った、
マスカラを
ヒトミから受け取り、

ひたすらぬりたくる。

やっぱり、女の子は目力が大事。

マスカラのおかけで、
ふさふさの睫毛になった。

メイクに満足して
鏡を鞄にしまう。


「マナはどーするのー?」


メイクを頑張っている私達を、
マナはずっと見つめていた。


「私は、行かない。二人で頑張って来て」


どこか、淋しそうにマナは笑う。


「ホント、じゃあ、ちぃ行くか。」

マナとは、
少しだけ気まずいから、
ヒトミの存在が有り難い。


小さく手を降って
教室を出た。
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