嫌いな男 嫌いな女
『高校生の美咲』
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なんっか、変な感じだなあ。
美咲におごってもらったハンバーガーにかぶりつきながら思った。目の前には、美咲だ。
なんか、2年くらい会ってなかったのが不思議なくらいだ。
話しかければ普通に返事をする。こんなの、出会ってから今までで初めてのことじゃねえか?
落ち着かない気持ちで、適当に話しながら食べることに専念する。
……女とふたりきりで出かけるとか、初めてのことでもねえのに。
自慢じゃないけど高校に入ってから何人かの女と付き合った。
それなりに告白されて、せっかく高校生になったし、と好みの女と付き合ったのがはじまり。ただ、毎回俺が振られて終わるんだけど。
しかも理由は毎回同じような台詞で。
『巽くんは、私のこと好きじゃないよね』
意味がわからない。
多分理由はバスケとか友達なんだとは思うけど、好きじゃないわけでもないっていうのに。勝手に好きじゃないって決めつけられても。
好きだと思ってるさ、付き合っている間は。
ただ、やっぱり今はクラブも楽しいし、ゲームもしたいし、明宏や他の男友達と遊ぶのも楽しい。
男と遊ぶのと女と過ごすのとは全く違うじゃねえか。
それを文句言われるのは納得できねえんだけど。
先月まで付き合っていた一つ年下の彼女も、よく似たことを言っていたっけ。
っていうか付き合う前にバスケをしている俺が好きだって言っていたくせに……。
どいつもこいつも。
女ってのはみんなウソつきだ。
『バスケが一番大事でもよかった。ただ、私を好きでいてくれるなら』
……意味がわからない。好きじゃなきゃ、付き合ってねえっていうのに。