嫌いな男 嫌いな女



「あんったほんとになにやってんのよ恥ずかしい」


家に着くとすぐに渚に文句を言われた。
……俺だってなにやってんのかわかんねーっつーの。


「久々にふたりが話しているを見たと思ったら相変わらずねー。素直じゃないっていうか、負けず嫌いっていうか。よくもまあそんなに毎回毎回ケンカすることあるわ」

「うっせーな、美咲がわりーんだよ」

「はいはいはいはい。女のせいにする男はもてないわよ」

「意味のわかんねえ女の相手なんてできるかっての」

「女の気持ちがわかろうなんて、100年早いわよ、ガキ」


100年もかかんのかと思うと俺には一生わかる気がしない。
っていうかわかりたくもねえや。


「特に美咲ちゃんも意地っ張りだからねえ、私には素直なのに」

「どこが素直なんだよ」


素直な美咲なんか想像もつかねえよ。
ある意味あれだけ思いを口にできるから素直かもしれねえけど。



「女の裏を読み取れるようになったら一人前の男だよ、まあ、適当に付き合って別れてばっかりしてるようなお子様には一生無理かもね?」

「うるせえな」

「粋がってるんじゃないよガキが、本当に好きな女の子が出来たらちょとはわかるんじゃない?



くっそー。えらっそうにしやがって。お前だって今彼氏いねーだろうが。

ちっと舌打ちをして自分の部屋に入った。


……俺だってケンカしたいわけじゃねえ。
どう考えても今日は美咲が悪いだろ。俺今日損しかしてねえと思うんだけど。


騙されて、合コンに連れだされて。
会いたくもなかった美咲に会うことになって。

なんかわかんねーけどあいつが泣き出して、逃げ出して、追いかけて。

ご飯を奢らせたことだけはよかったけど。
結局大げんかで終わりって。なんだ一体。
< 131 / 255 >

この作品をシェア

pagetop