嫌いな男 嫌いな女

見た目だけは多少女の子になってたけど、中身はなにも変ってねえな。俺の知っている美咲のまんまだ。

なんであそこまで俺が言われるんだよ!

ベッドにゴロンと横になって、天井を見つめた。

女の気持ちなんて全部嘘ばっかりだ。
急に泣くわ怒るわ……付き合ってきた女も。昨日まで言ってたこととが急に180°変わったりするんだから。


『バスケを優先してもいい』って言われたのに突然『バスケと私どっちが大切?』とか言われたって俺も困る。


女の裏ってなんなんだよ。言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃねえか。
そのほうがこっちも楽だっての。

あーもう、男みたいにわかりやすかったらいいのに。
明宏とか大樹とか、すげえわかりやすいぞ。なんで女はあんなふうに言わねえんだ。


ぐいっとベッドの上で手を上げて体を伸ばした。
考えてるのもアホらしー。

天井に手を向けてぼんやりして、なんとなく、美咲を思い出す。
そういや、今日、美咲に触れたけど、もしかして生まれて初めてじゃねえか?

俺よりも大きかった背はいつのまにかすげえ小さくなってて、体も細かった。俺の体にすぽって収まってしまいそうなくらい。

男みたいに腕もごつごつしてねえし、女の子みたいに柔らかい。いや、女なんだけど。


……女って、あんなに小さくて、男と違うんだなあ。


そんなことをふと思いだしていると、顔が赤くなるのを感じた。

いや、いやいや俺! なに考えてんだ俺! 美咲相手になに気持ち悪いこと思ってんだよ!
っていうかなんで赤くなるんだよ!


そもそも女に触れるのなんて初めてじゃねえだろ。
付き合って、手をつないだことも、抱きしめたことも、腕を組まれたこともあるっていうのに。

多少……女の体がどうなっているかなんてわかってる。
なのになんで、美咲に対してそんなふうに思ってんだ。
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