嫌いな男 嫌いな女
そんなふうに美咲を思い出す自分がひどく、汚いもののように思えて、すごい、悪いことをしているような気が……。
「だああ!」
気持ち悪い考えを振り払うように、叫びながら体を起こした。
ぐしゃぐしゃに自分の頭をかきむしり、うなだれる。
なにやってんだ、俺。
……そういや、あいつは、だれかと付き合ったり、してんのかな。
いや、してねえだろうな。だれとも付き合ってないだろう。明宏からそんな話は聞いたことないし。
だれかと一緒に並んで帰ったり、休みの日に出かけたり、してねえに違いない。
多分キスだって……俺としたのが最後だ。
2年前のキスを思い出して、どうしていいのかわからない気持ちになった。
赤くなるんじゃねえよ、俺!
今更、なんでキスを思い出したくらいで。しかも2年前のキスで。
なんでこんなにパニックみたいにならなきゃいけねえんだ!
「あーもう……なんなんだよ」
美咲が女だと再確認した気分だ。
女だった。知っていたけど、なんか、ちゃんと女なんだなあって。
そういうふうに美咲を見たことがなかったから、ちょっと戸惑っているだけだ、きっと。
じゃないと、おかしい。
ありえねえ!