嫌いな男 嫌いな女

そんなふうに美咲を思い出す自分がひどく、汚いもののように思えて、すごい、悪いことをしているような気が……。


「だああ!」


気持ち悪い考えを振り払うように、叫びながら体を起こした。
ぐしゃぐしゃに自分の頭をかきむしり、うなだれる。

なにやってんだ、俺。


……そういや、あいつは、だれかと付き合ったり、してんのかな。
いや、してねえだろうな。だれとも付き合ってないだろう。明宏からそんな話は聞いたことないし。

だれかと一緒に並んで帰ったり、休みの日に出かけたり、してねえに違いない。



多分キスだって……俺としたのが最後だ。



2年前のキスを思い出して、どうしていいのかわからない気持ちになった。
赤くなるんじゃねえよ、俺!

今更、なんでキスを思い出したくらいで。しかも2年前のキスで。
なんでこんなにパニックみたいにならなきゃいけねえんだ!


「あーもう……なんなんだよ」


美咲が女だと再確認した気分だ。

女だった。知っていたけど、なんか、ちゃんと女なんだなあって。
そういうふうに美咲を見たことがなかったから、ちょっと戸惑っているだけだ、きっと。

じゃないと、おかしい。
ありえねえ!
< 133 / 255 >

この作品をシェア

pagetop