嫌いな男 嫌いな女
「ごめんね」
そう告げると、沙知絵がにこーっと笑ってくれて、ほっと胸をなでおろした。
「じゃあさ、私、巽くんと仲よくなりたいんだけど!」
……そっかあ。
うまく言葉に出来なくて「あー」とだけ呟いたけれど、沙知絵はそれに気づかず話を進めた。
好きになった、というわけじゃないらしいけれど、やっぱり見た目が好みなんだとか。
この前はちゃんと話もできなかったし、今度はもっとちゃんと話がしたいと。
……まあ、いいんじゃないかな……。
「だからさ、また6人で、ちゃんと集まろうよ!」
6人って……この前のメンバー、だよね。
え? それって、私も?
「や、やだよ! ふたりで会えばいいじゃん!」
「できるわけないじゃん、連絡先知らないし」
そういえば私も知らないっけ。
いや、そんなことはいいとして。
「4人で行くとか」
「美咲、大樹くんと仲よくなりたくないの? 彼ずっと美咲のこと気にしてたよ。あと、またちゃんと会いたいって言ってたし」
それは……嬉しいし、私も大樹くんとは仲よくなれたらいいなってちょっとは思う。
もう巽とも会ってしまったし、いい人そうだったし。ほとんど話してないどころか、なんか失礼な態度とっちゃったし謝りたいっていう気持ちもある。
だけど、6人とか。
また巽に会うとか、絶対やだ!
「ふたりで会う方がいいなら明宏に連絡しようか?」
「……それはさすがに……緊張しちゃう!」
「じゃあやっぱり沙知絵の言うように6人で会うほうがいいんじゃない? 4人ずつで会うにしても、明宏もクラブあるし、まとめられる方が助かるんだよね」
由美子にそう言われてしまうと、迷惑かけるわけにもいかないし……。