嫌いな男 嫌いな女
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結局、6人で会う日は、明宏くんと巽のクラブ、そして沙知絵のバイトの関係から先になって、とりあえず大樹くんと4人で会うことになった。
「巽くんも今日クラブじゃないの?」
「あいつは今日ゲームするってよ。一応誘ったけど断られた。今度遊ぶときは無理やり連れてくるけど」
4人で映画館に入る前にご飯を食べているときに、そんな話になった。
……あいつが来るのを嫌な理由は、きっと、私だ。
「改めて、よろしく」
「あ、こちらこそ! この前は、ごめん、なさい」
「いいよいいよ! 体調悪いときにごめんね」
隣に座っている大樹くんにぺこりと頭を下げると、にこにこしながらそう言ってくれた。
そうだ、この前失礼なことしちゃったんだから、今日はちゃんと話をしなくちゃ。今日は巽がいないっていうのに、あいつのことばっかり考えてどーするんだ、私。
他愛ない話をしながら、映画までの時間を潰し、映画を見て少しゲームセンターで遊んでから家に帰った。
途中で携帯番号を聞かれて、ふたりで交換する。
家に着くとすぐに大樹くんから『今日はありがとう』というメールが届いて、緊張しながら返事をすぐに送った。
男の子とメールとか、久々すぎてなんか、ドキドキしてしまう。
悠斗くんとしていた以来かもしれない。今は男子校に言っているって明宏くんが言っていたっけ。
もう全然会ってないなあ、そういえば。メールも全くしなくなっちゃったし。
そういえば一緒に買物とかも行ったっけ。
懐かしい思いが蘇ってきて、大樹のメールを見ると胸がほっこりと暖かくなった。
……あの頃のように、ドキドキするッて感じじゃないけど、いい人だなあって思う。
一緒にいると自然と笑顔になるっていうか。
今日一日ずっと大樹くんと話していたけど、すごく楽しかった。
かっこいいけど、やっぱり、気取ってないというか自然体で、とても話しやすい。私のことを気遣ってくれる優しさもあって……。
ほうっておくとひとりでずーっと話し続けるようなおしゃべりな一面もあった。