嫌いな男 嫌いな女

そして、休憩にアイスクリームとポテトをみんなで食べる。
……今の私にはどれもこれも毒キノコみたいなもんだ。しかも寒いのにアイスって。

ジェットコースターに乗ったせいか、気持ち悪くもなってきた……。


「巽くん一緒にジェットコースターのろうよ!」

「またかよ。いいけど」


隣にいる大樹くんの声はあまり聞こえないのに、巽と沙知絵の会話だけが聞こえてくる。

……多分沙知絵は、巽に本気になるだろう。
今日、数時間のふたりを見ていると、この予感は外れないだろうと思った。

沙知絵に常に笑顔を見せる巽。
そっけない口調でも、沙知絵を突き放すような言葉は言わない。

文句を言っても、沙知絵は全く気にしてないようで「ひっどー」と言って笑うだけ。

なんだかんだ、沙知絵の希望に沿って動いているのがわかる。


猫かぶってるんだ。
だって本当はちっとも優しくないもの。

私の様子に気づきもしないし、ずっとそばにいてたのに、笑いかけもしない。話しかけても来ない。

気づいてよ、私に。
なんで気づいてくれないのよ……。

私を、見てよ。


「美咲ちゃん!?」


大樹くんの声に、自分の体がゆらりと傾いていくのに気づいた。

視界が、ぐるりと回っていく。体が宙に浮く感じ。スローモーションみたい。
なんだこれ。


「美咲!?」


巽声が聞こえる。
私呼ぶ声。私の名前。

巽の私を呼ぶ声は嫌いじゃない。
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