嫌いな男 嫌いな女

……仲よく、なんてできるわけねえ。
ムカつくことばっかり言うのはあいつのほうだっての。

こんなに学校行きたくねえの初めてだ。


はあーっとため息をすると、渚に「なに似合わないことしてんのよ」と笑われた。


あーあ。
学校行くのめんどくせえなあー……。

かと言っておかんは休ましてくれるはずもねえし、休んだって明日も同じだしな。しかたねえ。

会っても無視すればいいだけだ。あんな女しらねーってな。同じクラスにさえならなきゃ俺にはどうでもいい。

そう気持ちを切り替えて着替えてから家を出た。

ちらっと通り過ぎるときに美咲の家を見たけど、出てくる気配はない。

……今まで、ここに人なんていなかったのに。なんか変な感じ。


新しい学校なんて、どんな気分なんだろ。
小学校はいる前にはもう俺はここに住んでたしわっかんねー。

ま、どうでもいいか。


歩いて学校まで20分。
途中で友達の明宏(あきひろ)に会って話をしながら学校に向かった。

春休みの間も結構会ってたから、別にいつもと一緒だ。


「今日帰ったらゲームしようぜー」

「あ、明宏もしかして新しいゲーム買った!?」

「誕生日にかーさんが買ってくれた!」


その話で一気に盛り上がる。


「あ、おはよ」

「おはよー!」


途中で同じクラスだった女子にも会ったけど、明宏だけ挨拶してた。

女子はうるさいから好きじゃねえ。すぐ騒ぐし面倒くせーから。挨拶されたら頭くらいは下げるけど。一回無視したら、渚にすげえ怒られたっていうだけなんだけどさ。

< 15 / 255 >

この作品をシェア

pagetop