嫌いな男 嫌いな女



それから3日間、学校を休んだ。
その間に、由美子や沙知絵、そして大樹くんからもメールが何度か届いたけれど……巽からは一度もない。

そもそも私、巽の連絡先なんて知らないし。巽もきっと知らないだろう。

送られてきたらそれはそれで、びっくりするし、どうしていいのかわかんなくなって返事なんてできそうにないし。

ただ、今なら……巽に会って笑って話ができそうな気がする。

会いたい、なあ。
会って、ちゃんと、お礼言いたいなあ。

なんで、こんなに“会いたい”なんて思うんだろう……。
多分、その答えを私はもうわかってる。わかってるけど、今はまだ、気づかないふりをしていたいんだ。


学校に着くと、すぐに由美子と沙知絵が私の心配をしてくれた。
休んでいる間のノートのコピーも用意してくれていて、それを受け取ってお礼を告げる。

授業が始まるまで、遊園地の話を聞いて過ごした。


お昼休みになって、いつものように3人でお弁当を食べていると、突然沙知絵が真剣な顔をする。


「美咲」

「ん?」


呼ばれて返事はしたけれど、沙知絵は言葉を選んでいるのか、なかなか口を開かなかった。

……どうしたんだろう。

ぶわりと、胸の中に不安が広がって、箸を動かす手を置いて沙知絵の言葉を待つ。


「巽くんの、ことなんだけど」


胸がぎゅっと締め付けられる。
聞きたくない。言わないで。
だけど、そんなこと伝えられない。


「私、好きに、なっちゃったんだ」

「……うん」


やっぱり、そうなんだね。
そうなるかなって、思ってたけど……。

今まで、巽に告白する女の子の話を聞いても、なんとも思っていなかったのに。どうして、もしかして、と思った瞬間、こんなに胸が苦しくなるんだろう。
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