嫌いな男 嫌いな女
学校に着いて、靴箱で上靴に履き替えて教室に向かう。
4年はクラス替えがないから楽だなー。……あとは、あの女が同じにならなければ最高。
「ねーねー! 転校生がいるんだって!」
教室に入るなり、くっそうるさい女子の声が響いた。
それに苛立ちを感じるよりも前に、びくっとしてしまう。
「え? ほんとにー!?」
「さっき職員室におばさんといてた!」
きゃあきゃあと盛り上がる女子の輪。
「なあ」
そこに、初めて俺から近づいて声をかける。
普段女子と喋らねえ俺が話しかけたから、明宏は驚いていたけど今はそれどころじゃねえ。
「な、なに? どうしたの山森くん」
「そいつ、このクラスにくんの? その転入生」
「え? し、知らないけど……」
戸惑い気味に女子が答えて、それにほっと胸をなでおろす。
見たって言うからこのクラスに入ってくんのかと思った。
「あ。もしかしてその転入生って、巽の隣に引っ越してきた女子?」
話を聞いていた明宏がピーンとした顔をして間に入ってくる。
「山森くんの隣の家の子なんだー。どんな子なの?」
どんな……って。
そんなの俺もしらねえよ。
ショートカットの、でかい女。でかいって言っても、別にクラスで一番とかいうほどでもねえけど。
「巽にちびって言ったんだってよ!」
「うそー! ひどいー」
ひどいって言いながらなにケラケラ笑ってんだ。