嫌いな男 嫌いな女
「俺も開けていい?」
「あ、うん」
照れくさそうに私の持ってきた紙袋を開けていく。
……どんな反応をするんだろう……。
「このCD、俺持ってる」
……まあ、3年前のだしね……悠斗くんに好きだって聞いたからね。好きなグループのだったらまあ、買っていても仕方ないよね。
「俺、脚のサイズもうこれよりでかいんだけど」
うん、まあ、成長するもんね。巽一気に身長伸びたし。
昔のサイズじゃ合わないよね。
「食いもん全部賞味期限切れてんじゃねえか。なんだこれ」
……だってお菓子だもん。
っていうかそんなふうに言わなくてもいいじゃんよ!
「仕方ないでしょー! もういい! ろくなものなくてすみませんね! 返してバカ!」
「あ、いや、あ、ほら帽子! 帽子は使える!」
「いいよもう気を使わなくても!」
せっかく買ったのに……!
仕方ないじゃないバレンタインのお菓子だもん賞味期限くらいきれるっつーの! もってこないでおこうかなってそりゃ思ったけど。
巽がいちごのプレゼントをくれたから、私も同じだけの気持ちを精一杯伝えたくて持ってきたんだもん……!
「そーすねんなって」
「なに笑ってんのよ」
「いや、バカだなあって。ゴミ人にあげるとか」
ゴミ!? ゴミですと!
いや確かに賞味期限切れのゴミかもしれないけど……それを言う!?
ほんっと無神経だこいつ!