嫌いな男 嫌いな女
……前にも一度、こんなふうに抱いたけど、あのときは必死だったからな。
体を起こして、美咲にかぶさるようにして、手を動かしながら美咲にキスを繰り返す。無抵抗なことに若干の罪悪感を抱くものの、まあ、ほら、男の子だし!
腰を撫でて、背中に移動する。手にあたったブラのホックを、自分でも器用だな、と思うくらいに簡単に外した。
その手を今度は前に移動させると、緩んだブラのすきまは簡単に俺の手を招いた、ような気がした。
「ん、ん……? ん!?」
「あ」
その瞬間、美咲がゆっくりと目を開けて、俺の視線とぱちりとぶつかる、と同時に目を見開いて「な、な、な」と声を震わせる。
「な、なに、して」
「えーっと」
なんて答えたらいいだろう。
手は胸に添えられたままで、動かしたいっていうのに動かせない。いいところで目を覚ましたことに舌打ちしたい気持ちになった。
「セックス?」
「はあ!? なに勝手に! ちょ、やだ!」
「え? 無理。無理無理この状態で無理だろ」
「知るかバカ! 手を! 手をどけろ!」
自分の服をぎゅうっと掴んで、体をくねらして俺の手を離そうとする。でも、惜しい気持ちが強いのかなかなか離れない。ってか離さねえし。
「えー」
「ちょ、動かさないで! 無理! 死ね! 死ね死ね死ね!」
「いて! 殴んなバカ!」
バシバシと頭を叩かれて、さすがに避けると手を離してしまった。
必死に俺から身を守るような体制を取る美咲を見ると、「ち」と舌打ちをしてしまう。……なんで、こう逃げるかなあ。